『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ』(辻村深月/講談社)
母を殺してしまった娘と、母との確執を抱える娘。どんな母娘(おやこ)にも起こりうる悲劇。
地元を飛び出した娘と、残った娘。幼馴染みの二人の人生はもう交わることなどないと思っていた。あの事件が起こるまでは。チエミが母親を殺し、失踪してから半年。みずほの脳裏に浮かんだのはチエミと交わした幼い約束。彼女が逃げ続ける理由が明らかになるとき、全ての娘は救われる。著者の新たな代表作。
序章で、チエミが母親を殺してしまったのが分かる。チエミが母親を殺したのが、四月。
そこから半年後の十月。 第一章で、主人公のみずほが高校時代の友達や恩師にチエミのことを聞いて回る。
チエミの家庭は一人娘であるチエミと両親が、周りから見て異常に思えるほどに仲が良かった。30近くになって、仕事の残業がある時は必ず電話が必要だった。仕事の帰りが遅くなると、父親が車で迎えに来た。でも、チエミはそれを異常なことだとは思ってないし恥ずかしいことだとも思っていない。周りはそれを少し引いた気持ちで見ている。
チエミは生涯で一人だけ付き合っていた男性がいた。それは大地という名前で、みずほが紹介した男だった。大地は誠実とは言えない男性で、東京の彼女と、山梨の彼女であるチエミと同時進行していた。しかもチエミと結婚すると言ったと同時に東京の彼女にも結婚を告げ、実際に結婚したのは東京の彼女だった。そしてチエミが母親を殺害する少し前、大地はチエミと会って性交渉をもった。それで、チエミは妊娠したのだった。
それが母親殺害のきっかけだった。チエミは仲の良すぎる母親に妊娠したことを一緒に祝ってほしかった。一緒に病院に行って欲しかった。けれど母は「産むのなら、私を殺して行きなさい。」と言う。しかもチエミの手に包丁を持たせようとする。自分を刺せと言うように。チエミはそれを嫌がり、二人は揉み合いこけた時、母の腹部には包丁が刺さっていた。母はチエミに逃げるように言う。産んでもいいから、逃げろと。そして母は部屋の中の小さな引出を指さした。そこには通帳が入っていると知っていた。そして母は「ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ」と告げた。それは暗証番号で、チエミの誕生日だった。
チエミはその後、高校時代の担任の教師宅へ行き、妊娠を告げた。そして、誰にも言わずに生まないといけない。だから先生の富山の実家を使わせてほしいと。先生はチエミに鍵を渡した。それからチエミは薬局へ行き、妊娠検査薬を試した……しかし、それは陽性を示さなかった。チエミは妊娠していなかったのだ。
それからチエミは富山で出会った大学生宅に住まい、無為に過ごしていた。そしてみずほに発見されるのだった。


