『恋愛生活 忘れられない人』(真野朋子/幻冬舎/幻冬舎文庫)
香奈美は、学生時代からファンだったBJというバンドの来日ライブに、知香から誘われる。夫に文句を言われながら子供を預け、会場に向かう。そこには香奈美と知香、香奈美の後輩である陽一という男がいた。ライブ後には知香の音頭で居酒屋へ向かった。そこには、同じ会場の違う席にいたミチがおり、香奈美は話しながら反感を持ってしまった。ファンであれば本場アメリカで見るべきだとか、主婦は優雅だとか、失礼な印象を受けたからだ。
ライブ後、香奈美は日常生活をひどく空しく感じるようになっていた。家事は飽き飽きだし、誰も褒めてくれない。達成感もない。そんな中、仲間で集まった際に懐かしい名前が出た。みはるが口に出した吉川透という名だった。香奈美は透と少しの期間だが付き合っていたのだった。香奈美が21歳で、透が二十歳そこそこだった。だが透の母は入院し、手術することになり、透が夏休みの一か月半帰省していたことがあった。その期間に香奈美は現夫である俊幸と付き合い始めていた。透にはひどいことをしたが、香奈美には若いころの思い出だった。
BJのライブ以降、香奈美は陽一と時々メールをする間になっていた。BJのライブグッズを仕事で使った分が余っているから、必要ならもらってほしいと言われ、香奈美は喜んで会いに行った。その後もメールは続き、透のことを思い出していた香奈美は、「もうあんなに誰かに愛されることもない」と思い、陽一に「会いたい」とメールしてしまう。すると陽一から「明日なら会える」と言われ、会うことに。香奈美はただドライブや食事と思っていたのだが、陽一は当たり前のようにホテルへ向かう。そして香奈美もそれを了承してしまった。その後ももう一回だけ陽一と関係を持つが、要求がエスカレートしたことで香奈美の心は引いてしまう。
それから少し後、知香から陽一が実は手が早いこと、ミチにも手を出していたこと、しかし実は妻子がいることが発覚したことを聞いて驚く。それからはもう、陽一とは関係を絶った。
透に会いたいが、どうすべきか。香奈美は遼子から、透が遼子の店に来たと聞く。遼子は会ってみたらと透の名刺をくれたが・・・・・・。どうにも会う決心がつかない。それで名刺に書かれていた住所をフラフラしてみたりしたら、書店で偶然透に会ってしまった。二人は立ち話をする。香奈美にフラれてから、透の親の事業が破産し、お金に苦労したこと。でも拾う神もあり、ある奥さんに援助してもらったこと、そして彼女と一緒に暮らすためにもうすぐ引っ越すこと。香奈美はこれで気持ちに区切りがついた。


